1989(抄)

蒲団のなかに潜っていた
僕は考えていた考えるのが好きだった
夜はまったく眠れなかった朝が来ても眠れなかった
午後になって少しうとうとした夕方になると腹がへった
ラーメンを食べると夜になった絶対に眠れない夜に
僕はずっと考えていた蒲団のなかで
何を考えていたのかもう思いだせない何か
考えることがあった考えなければいけないことが
あの頃は考えるのが好きだった一日中考えてばかりいた
何もすることがなかった何もしたくなかった
何をしていいのかわからなかった何もしなくていいと思った
時間潰し時間潰し真っ黒
真っ黒の蒲団のなかで考えていた人を殺すこと、たぶん
自分が死ぬこと、たぶんそんなことを考えていたもう思いだせない
途方も無い計画があった復讐の計画が、たぶんそんなこと
たぶんそしてもっと美しいこと、ありえないこと
巨大な崩壊と巨大なポエジーの到来と巨大な
巨大な何か警察のようなやつの到来不安と不安と不安と
僕は考えていたんだ何かが来てそれから
僕は何かになる何か、何か途方も無いものになる
自分以外はみんなアホばかりだと思えた思っていたそう考えた
自分以外はみんなアホだった